2007年11月05日
面白かった、フライ・イン

今年も佐賀平野の秋を彩る、熱気球の祭典「佐賀バルーンフェスタ」が開催された。10月31日から11月4日までの短い期間だったが、会場の嘉瀬川河川敷はもちろんのこと、ふだんは人影の少ない佐賀市内の各所も多くの観光客で賑わっていた。
お祭りは大好きなので、早起きして大会3日目の朝の競技を観に行ってきた。少し寒かったが、確実に競技を観るならやっぱり朝に限るのだ。穏やかな午前中に比べ、午後はどうしても風による中止が多くなるのでね。これ、昨年の苦い経験から。
その日の競技は「フライ・イン」。河川敷を目指して遠くから飛んできたバルーンが、所定の位置に設けられたターゲットに上空からマーカーを投下するというものだ。時間内にターゲットに一番近いところに落とした競技者が優勝となる。なので、河川敷の会場からバルーンが一斉に飛び立つ、夢のような光景はこの競技では観られない。ちょっとがっかりだ。
ところが、始まってみたらこのフライ・イン、なかなかスリリングで面白い。河川敷の北方から思いおもいに離陸した約100機のバルーンが、風に乗って刻々と会場に近づいてくる様はとても壮観だし、やがて頭上に接近した色とりどりのバルーンが、一機また一機とターゲット目指して降下してくるところなど、心臓がドキドキするほどエキサイティングだ。

風を読み、炎を操り、機の高度や方向を調整しながら、競技者は次々とターゲット目指して近づいては、マーカーを投下する。しかし、このバルーンがなかなか思い通りには進まないんだなあ。うまい具合に風を捉えてターゲットのほぼ真上ギリギリに到達した名手もいれば、どうしても位置が合わず、遥か遠く高いところから諦めてマーカーを投下した機もある。なにしろ相手は風なのだから、どうしようもない。
ターゲットのすぐそばにマーカーを落とした競技者には、観客の間から思わず拍手が巻き起こる。むこうも上空から手を振って応える。上と下とで心が一つになるというか、これがまたいい雰囲気なのだ。
こうしてみるとバルーンのこの競技、まさにスポーツだということが分かる。それも高度なテクニックや経験が必要であり、勇気や度胸も試される競技なのだ。さらに見栄えの良さという点では、ほかのどんなスポーツよりも勝っている。まあ、気象条件などがいろいろと必要だが、オリンピックの種目などに入れたら面白いんじゃないのかな。