2010年04月21日

岡田ジャパンに注文!

いよいよサッカーW杯が近付いて来た。しかし、最近の岡田ジャパンの体たらくを見るにつけ、これで南アフリカではどうなってしまうのかと不安は募るばかり。何といっても弱い上に試合がクソ面白くなく、おまけに全てにおいて華がない。オフト監督の頃から通してみても、こんな三拍子揃った代表はなかったんじゃないのかな。人気が出ないのも当然というものだ。

そこで筆者は、ラックの奥にしまってあった2002年W杯の「日本VSベルギー」戦のDVDを、久しぶりに取り出して観てみた。あのときの魂が燃え上がるようなときめきと、今のこの冷めたラーメンを啜るような自分のシラケ具合を、ちょっと比べてみたくなったのだ。あの素晴らしい愛をもう一度、というわけだ。これは日本が地元で迎えた史上初の試合で、場所はもちろん埼玉スタジアム。



まず、観客の盛り上がり方がすごい。誰もが祭の踊り手のように興奮し、その場の雰囲気を楽しんでいる。何といってもオラが国で開かれるW杯の舞台で、初めてオラがチームが戦うのだ。これがワクワクしないでいられようか──そんなウブな精神の高揚が、まるで手に取るように伝わって来る。試合開始前、自衛隊のジェット機編隊が上空を通過したときは、筆者もあらためて感動したよ。

この試合の日本チームは、アウェイ用の白いユニホーム。ベルギーのユニは上下とも赤。比べてみると、彼の国が大男揃いのオヤジ軍団なのに対し、われらが日本はみんなそろいも揃って若い。まるで薩長軍の猛者に立ち向かう、会津の白虎隊のようにも見える(そんなことはないか)。しかしこの試合をテレビで観て、初めて日本人を知った外国人がいたとするなら、彼らはたぶんこんな印象を抱くんじゃないだろうか。──日本人はアジア人なのに髪の毛が金色で、顔立ちは驚くほど秀麗な民族だ、と。それほどこのチームは金髪好きで、奇跡的ともいえるようなイケメン揃いなのだ。

日本の布陣はいまや懐かしい3−5−2。GKは現在よりややスリムな感じの楢崎正剛。DFはお馴染みのフラットスリーで、松田直樹、森岡隆三、中田浩二のトリオだ。松田は阿修羅、森岡と中田浩二は菩薩と、三人とも端正な仏像顔なのが面白い。MFは、ダブルボランチに紅顔の美少年といった稲本潤一と赤毛のハードタックラー・戸田和幸。両ウィングバックは左に天才・小野伸二、右は俊足の突破者・市川大祐で、トップ下には不動の司令塔・中田英寿が君臨している。で、FWは鹿島の美青年コンビ、鈴木隆行と柳沢敦のツートップだ。

これでベンチには監督のフィリップ・トルシエが座り、隣には通訳のフローラン・ダバディが影のように寄り添っている。どれをとっても絵になり様になる、まさにこちらをワクワクさせる豪華な顔ぶれなのだ。今の岡田ジャパンには望むべくもない、煌めくような華やかさがここには満ちあふれているんだなあ。

試合内容まで詳しくここには書かないが、しかし、日本は体格に勝るベルギー相手に本当によく健闘している。怖めず臆せず堂々と、全身全霊を傾けて立ち向かっている。敵のドリブル突破にはこちらもドリブルと正確なパスで、またハードタックルにはハードタックルで、肉弾戦を恐れず互角に応戦しているところが、現在の代表チームとかなり違うところかな。つまり結構みんな、タフな戦い方をしているのだ。これをみると今の岡田ジャパンが、肉弾戦を避けて小賢しいパス回しに終始していることがよく分かる。

しかし、やはり重要なのは日本の得点シーンだろう。1点目は小野の正確なロングパスに反応し、単騎敵陣深く突入した、鈴木のまさに運命的なつま先シュート。この執念のゴールがなければ、日本のサッカーの歴史は変わっていたかも知れないし、2点目の稲本のドリブル突破からのスーパーゴールもまた、わが国サッカー史に残る見事なものだった。二人に共通していたのは、相手ディフェンス陣を強引に中央突破してのシュートだったこと。この死に物狂いともいえる執念や敢闘精神が、いまの代表チームからは感じられないところなのだ。

特に筆者が岡田監督に要望したいのは、やはりFWには鈴木のような、強靭なフィジカルを持った大型選手が、少なくとも一人は必要じゃないかということ。この試合を観ていると、彼の体を張った奮闘ぶりが目立つと同時に、相棒の柳沢のひ弱さが否応無く目についてしまうのだ。今のスピード系ちびっ子選手ばかりを偏重する岡田ジャパンのやり方で、はたして岩のような体躯の外国DF陣から点が奪えるのかどうか。ちょっと、いや、かなり心もとない気がするなあ。

まあ、もともと岡田監督の場合、能力を買われてその座に就いた人ではない。1998年のフランス大会のときは、予選の途中で加茂監督が更迭されて、はからずもコーチから監督に昇格。今回の2度目の就任にしても、任期途中でオシムさんが病に倒れ、緊急措置的に引っ張り出されたという感じだった。国際舞台での実績もなく、2度も代表監督になれたという点では、ある意味運のいい人なのかも知れないが…。

そんな岡田氏に、指揮官としての能力以上のものを求めるのは、酷というものかも知れない。それはもうすでに、多くのサッカーファンが気付いていることだろう。だが、W杯は4年に一度の夢の大会。期待しないと言いつつも、心のどこかで期待するのが人間の情というものだ。そこで注文したいのは、もう「接近・展開・連続」とか「ベスト4」とかのカラ念仏はいいから、ここはひとつサッカーの初心に立ち返って、火のような敢闘精神で日本中が燃えるような戦いぶりを見せて欲しいということ。それが出来れば仮に敗れても、岡田監督の評価は上がるんじゃないのかな。なにより日本人は、カタルシスを求めているのだから。  


Posted by 桜乱坊  at 12:01Comments(0)スポーツ

2010年04月09日

気になる都市伝説



グラフィックデザイナーとは、本や雑誌あるいはパンフレットやポスターなど、主に印刷物等のデザインを手掛けるデザイナーのことだが、筆者にも古くから付き合いのある友人が何人かいる。みんな東京に住んでいるので、今ではメールや電話でやり取りするくらいだが、音信が途絶えたりするとどうしているのかななどとも思う。視覚的な表現方法に拘るわりには気のいい人物が多く、いずれも長い付き合いの友人たちばかりだ。

そんな友人たちの他にも、これまで仕事上で知り合ったグラフィックデザイナーは多い。つまり、その仕事限りの付き合いと言う奴だ。この職業に共通しているのは、やはりデスクワーク主体という仕事の性格上、誰もがとても感覚的で職人的な仕事へのこだわりを持っていることだろう。これは男女を問わず共通している。で、以下の二題は、そんな彼らが打合せの合間などの雑談の中で、筆者に話してくれたちょっと不思議な話。付き合うと気のいい連中が多く、けっこうみんなおしゃべり好きなのだ…。

その一。ある夏、デザイナー仲間の男が海に遊びに行き、磯遊びを楽しんでいたときのこと。岩場のフジツボに膝頭をぶつけ、少し切ってしまったのだという。出血したがその場は大したことはなく、東京に帰って普通の生活をしているうち、やがて傷は治ってしまった。

だが、傷は癒えてもなかなか関節の痛みが治まらない。そのうち治るさと思っているうちに、月日が経てば経つほど、なぜか膝の痛みは酷くなって行く。いったいどうして──? とうとう痛みに耐えかねてある日、男は医者の元へと駆け込んだ。そしてついには切開手術。調べてみたところ、なんと膝の皿の骨の裏側に、ビッシリとフジツボが寄生していたのだとか…。ゾ〜〜ッ。

その二。グラフィックデザイナーのよく使うアイテムがスプレー糊。これは缶に入ったスプレー式の糊で、用紙や写真などをボードに貼ったりするときに、シュッと吹き付けて使う。最近はパソコンのデスクトップ上で作業が完結するようになったので、むかしほどの需要は減ったはずだが、かつては彼らの必須アイテムだった。

そんなスプレー糊を愛用していたデザイナーの一人が、若くして胸を患った。初めは風邪かなと思う程度だったが、咳や息苦しさを覚え始めてそう間もないうちに、みるみる体調は悪化。やがて治療の甲斐なく、その人は肺炎で亡くなってしまったという。遺族が原因を確かめるため医師に頼んで胸を切開してもらったところ、なんと肺の中はスプレー糊で真っ白になっていた…。ゾ〜〜ッ。

この二つの話は、それぞれ別のデザイナーが別の機会に話してくれた“実話”で、どちらもちょっと怖い話だ。だが、一方で「ほんまかいな?」という気がしないでもないなあ。事実のようでもあり、またジョークのようにも思える。話をした二人は共に、聞いた話だと断った上でわりと真剣な顔で語ってくれたものだが、その後まるで付き合いがないので、今となっては真偽を確かめるすべもない。まあ、そんな怪し気な話だからこそ、かえって筆者の記憶からなかなか消えないのかも知れないが。

思うに、これはたぶん「都市伝説」の一種なのだろう。よく考えれば、生きた人間の膝の骨にフジツボが寄生するのなら、漁師や海女の膝などはフジツボだらけのはずだし、またスプレー糊が原因で人が死んだとすれば、今頃はとっくに製造販売した会社は訴えられているはずなのだ。寡聞にしてそんなニュースなど、聞いたことがないものな。

二つの話に共通しているのは、どちらも最後に医師が患部を切開してゾッとするというオチがあることと、語り部がグラフィックデザイナーだということだ。前者は医師が登場することで、いかにも話に真実味が付加される仕掛けになっている。凡人は医師や学者などの登場する話を、無条件で信じてしまう傾向があるものなあ。そう思うと、この話はかなりウソ臭い。

だが、後者の語り部はどうだろう。話をしてくれたのがともにグラフィックデザイナーというのは、単なる偶然なのだろうか? それとも彼らは裏で、都市伝説を語るという別の仕事を持っているのだろうか? そんな馬鹿な…。まあ、たまにはリラックスして馬鹿話でも、というのが本当のところだったのだろうが、今度、友人のデザイナーたちにその辺りのことを訊いてみようかな。「もう一つ、別の仕事を持ってない?」って。  


Posted by 桜乱坊  at 14:30Comments(0)身辺雑記