2008年06月24日

カエルの復讐?



このところ雨の日が続く。先日は豪雨のせいで、佐賀市内では至る所が冠水。佐賀駅前や表通りも水であふれ、人も車も大変だった。もともと佐賀平野は、有明海の上に自然に土砂が堆積したり、人間が干拓したりしてできた平坦な平野なので、水には弱いんだな。

ところで前回、世界的にカエルの数が減っていると書いたら、それをあざ笑うかのように数日前から、筆者の周りでウシガエルの声が聞こえ始めた。ベランダの下の方を流れる小さなどぶ川から、夜ごと「ボウ、ボウ」という声が辺りに響き渡るのだ。その大きさは、まさに“太平の眠りを覚ます”が如く。まったく、壊れたアコーディオンのような声は、近所迷惑な騒音以外の何ものでもない。

どうやらそのどぶ川が奴には気に入ったらしく、たいてい夜になると同じような場所から声を響かせる。筆者が子供の頃なら、カエルはゴム銃や吹き矢の恰好の標的だったのだが、むろん近頃そんなことをする子供は見掛けない。なので奴は悠々と人生を謳歌しているらしい。困ったものだ。

実は筆者はずいぶん前に二度ほど、このウシガエルの肉を食べたことがある。まあ元々このカエル、食用としてアメリカから大正時代にわが国に移入されたものなので、人間が食べるのは別に当たり前といえば当たり前なのだが。何といっても「食用ガエル」の別名もあるわけだし…。

一度目は確か、千葉市内の居酒屋だったかな。焼き物として店のメニューにあったので、若気の至りで試しに友人と頼んでみたのだが、むろん出て来たのは太腿の部分だけ。けっこう肉が厚く、口に入れてみるとちょうど魚と鳥の中間くらいの食感で、さっぱりと淡白な味だったのを覚えている。それがカエルだとさえ思わなければ、けっこう悪い味ではなかったような気がするなあ。

二度目の挑戦はなんと観光旅行先のパリで。一人で夕食でもとブラリと入ったビストロで、おそるおそる開いたメニューには、フランス語の下に英語の訳が付いていた。ああ良かった、英語なら分かる単語もあるだろうと目を凝らすと、飛び込んで来たのが「 frog leg(フロッグ・レッグ)」の文字だった。で、おおカエルの脚かよ!と、珍しさと懐かしさ半分でその料理を頼んでみたわけ。

ウェイトレスの女の子は筆者の顔を見て、何事かフランス語で説明していたが、たぶん「お客さん、それってカエルの脚ですよ」と注意してくれてたのだろう。なあにこちらは、そんなものは日本の居酒屋で経験済み。知らん顔してそのまま押し通したら、やがてパンと一緒にバターでソテーしたカエルの脚が山のように出て来たっけ。それらを骨だけ残して残らず平らげ、店の主人にチップまで渡して外に出たときには、なんだか勝利者になったような気分だったなあ。味はやっぱり、そんなに悪くはなかったような気がするが…。

そんなわけで、ウシガエルは今夜も窓の下の闇で、あの騒音を響かせている。むろん、いまさら奴を食いたいなどとは思わないが、こう毎晩鳴かれると少しばかり憎らしくもなる。ひょっとして奴の嫌がらせは、食われた仲間の復讐のつもりなのかな?  


Posted by 桜乱坊  at 14:26Comments(6)身辺雑記

2008年06月12日

カエルの歌が…

いよいよ北部九州も梅雨入りだ。今年は東西の逆転現象だとかで、関東甲信地方より十日ほども遅い。そういえば3月の桜の開花も、今年は東京が全国でトップという逆転現象が起きていたな。なんか列島全体、気候の順序やバランスが狂っているようで、ちょっと気持ちが悪い。

すでに各地では雨空が続いている。これで、アジサイの花やグミの紅い実がきれいになるなあ、などと言っているうちはまだ良いが、大雨が降り続くとえらいことになる。川の氾濫や土砂崩れなど、この時期の水の被害はとてもこわい。農家にとっては恵みの雨だが、ほどほどに降ってくれるのを祈るしかないか。



しかし、この季節で思い出すのがカエルの声だ。そのむかし、筆者が通っていた小城中学校の教室のすぐ北側は、道路を挟んで一面の田んぼが続いていた。この田んぼには無数のカエルが住んでいて、雨上がりなどには必ず一斉に大合唱を始めたものだ。いや、あのときの奴らの声のスゴかったこと。いまでも、教室を包むあの地響きのような声を、筆者はときどき懐かしく思い出すことがある。

だが、そんなカエルにとって現代は厄災の時代らしい。つまり、カエルの数が急速に減っているというのだ。いやカエルのみならず、イモリやサンショウウオなどの両生類の減少は、いまや世界的な傾向でもあるらしい。いわれてみれば筆者も最近、カエルの声をあまり聞かなくなったなあ。

原因としてはやはり、彼らを取り巻く環境の変化が大きいようだ。だいいち棲み家だった水田が減反政策で大幅に縮小したし、どこにでもあった小川や沼はコンクリート張りになったり姿を消したりだ。さらにはオゾン層の破壊で増えた有害な紫外線が、彼らの露出した皮膚や産卵に影響を与えているともいう。両生類って環境の変化に弱いんだな。

そして近年さらに脅威となっているのが、「カエルツボカビ症」という恐ろしい感染症。これは両生類のみが感染するもので、彼らを絶滅の危機に追いやるほど致死率が高い病気らしい。世界中で猛威をふるい、すでにオーストラリアや中米の両生類が壊滅的な打撃を受けたというから、ちょっと怖い話だ。

この「カエルツボカビ症」は、ペットを介して日本にも持ち込まれたようで、犠牲者(?)もすでに出たもようだ。まずいなあ。ツボカビは水の中で数週間生き続け、野外へ広がってしまうと根絶は不可能だというから、仮に日本中にこいつが広がれば、カエルを始め野生の両生類は大打撃だ。

この病気、いくら人間に害がないとはいえ、両生類の激減は生態系を大きく狂わすことにもなる。つまり、彼らをエサにする他の動物の減少にも繋がるのだ。知らなかったが、これは大きな環境問題なのだな。この時期の日本列島にカエルの声が聞こえなくなったら、それはわれわれの危機でもあるということだろう。  


Posted by 桜乱坊  at 11:31Comments(2)身辺雑記

2008年06月04日

雨の中の二人

先日の雨の中、小城の本町通りを駅に向かって歩いていたら、すれ違った初老の夫婦に声をかけられた。どうやら他所からやって来た観光客のようで、小城に着いたばかりなのか矢継ぎ早にいろんな質問を浴びせられた。人の好い筆者は、佐賀行きの列車の時刻を気にしながらも、つい何でも答えてしまう──。

「ここは羊羹屋さんがいっぱいあるんですか?」「ええ、ええ、この通りをずっと歩くと、何軒もお店がありますよ」。「村岡羊羹が有名ですが、そこまで歩いたらどのくらい掛かりますかね?」「遠いですよ。ここからだと30分くらいかなあ」。「そこに八頭なんとかという店がありましたけど、あれ何て読むんですかね?」「ああ、八頭司(やとうじ)さんですね。や・と・う・じ」。「あの、昔ようかんと普通の羊羹はどう違うんですか?」「そうですねえ、昔ようかんは外側に砂糖が白く固まってジャリジャリしてますね」。「普通の羊羹とどちらがうまいんでしょう?」「それはまあ、好きずきですから…」。

夫婦のパスワークというのか、絶妙のコンビネーションというのか、代わるがわる次々に放たれる質問の矢にタジタジしながらも、筆者は出来るだけ丁寧に答えた。まあ、少しでも観光客に小城の町歩きを楽しんで貰いたいと思ったからだが、はたしてこれで“羊羹の町・小城”の宣伝になったのだろうか。二人は嵐のような質問を終えると、礼を述べて本町通りを北の方へと歩いて行った。



解放された筆者は駅へと急ぎながら、ふとその二人のことを考える。この雨の中、せっかく小城を訪れてくれた観光客なのに、羊羹屋さん以外に行く所があるのだろうか、と──。すぐ近くに文化施設「桜城館」があるので、そこを教えようかとも思ったのだが、あいにくその日は休館日。花の時期を迎えた小城公園も千葉城趾も、この雨では散策どころではないだろうし…。

こうしてみると小城には、観光客が休んだり遊んだり、ショッピングを楽しんだりするような室内施設がない。特に鉄道を利用してこの町を訪れた人は、雨の日などはずいぶん不便をかこつことになる。まあ、肝心の駅舎に市内観光地図の一枚も置いてないような町だから、仕方がないといえば仕方がないが、これではちょっと遠来の客に冷たいんじゃないの。

筆者がかつて訪れた町では、地場産業を紹介するPR館などをよく見掛けた。たとえば、「有松絞り」で有名な東海道の有松町には「有松・鳴海絞会館」があったし、薬草の里として知られる奈良県の大宇陀町には「薬の館」があった。佐賀県だって有田に行けば、陶磁器関係の展示施設が多数ある。そこへ行けば地場産業の歴史や特徴などをじっくり知ることが出来、ついでにショッピングなども出来るので、便利なことはとても便利。旅先で雨の日などにはずいぶん助けられたものだ。

筆者の調べでは、小城は間違いなく「日本一の羊羹の町」だ。「小城羊羹」のブランド名は他地域でも知られているし、狭い町なかにはなんと羊羹屋が20数軒もある。こんなユニークな町は他にはない。しかし、この強力なセールスポイントを持ちながらも、小城という町には観光客を誘致・接遇する態勢が整っていない。そこが歯痒いんだよなあ。
羊羹屋を探して雨の町を歩くさっきの夫婦は、半分シャッター街になった小城の表通りを見ながら、いったいどんな感想を持つのだろうかと少し気になった。  


Posted by 桜乱坊  at 13:19Comments(0)身辺雑記