2025年02月28日

心落ち着く雨のサウンド

心落ち着く雨のサウンド

最近、YouTubeで筆者のお気に入りになっているのが「雨音」のBGMだ。これを検索すると、「窓越しの雨音」とか「トタン屋根の雨音」とか「雪まじりの柔らかい雨音」とか、同じ雨の音でも種々様々な雨音が見つかる。どれもだいたい3時間ほどの長さで、静止した雨の情景などを背景に、ただ静かに雨音が流れるという作りになっている。じつにシンプルだが、これが良いんだよなあ。何というか心が落ち着くというか、癒されるというか…。パソコンで作業をしている間これを流していると、集中力がぐんと高まるのを感じるのだ。

外はスカッと晴れているのに、室内で雨音を聴きながらデスクワークする──。まあ考えてみれば不健康な話だが、これで作業効率が良くなるのなら悪くはない。それにしても、雨音はどうしてこうも人の心を落ち着かせるのだろうか。これは筆者だけのヤバい心の病気なのか、それとも万人に共通する心理効果なのか? ああ、それを考えると夜も眠れない…。というほどでもないが、そんな時こそ雨音のBGMを聴くとグッスリ眠れるのだ。雨音にはまた、催眠効果もあるんだよなあ。

調べてみると、これはかの有名な寺田寅彦も、随筆で同じようなことを書いているから、どうやら筆者だけの心の病気ではないらしい。まあ、雨音といっても雨そのものの音ではなく、実際は雨つぶが地上に落ちて、地面や草木や家の屋根などに当たるときの音なんだけどね。このときの、ピチピチとかポツポツとかザーザーとかいう音が、静かなささやきとなって聞こえてくると、なぜか火照っていた心も冷やされ、深い安らぎを覚えるというわけだ。そういえば、かつて小林麻美の「雨音はショパンの調べ」という歌が、流行ったこともあったが、あれはドラムビートの効いた本降りのイメージだったっけ…。

そこへいくと、本家・ショパンのピアノ曲「雨だれ」は、優しく降り続く雨を感じさせる。心を癒してくれる雨音とは、やはり夕立のような土砂降りではなく、シトシトと草木を濡らすこうした雨なのだな。聞くところによれば、どうやら雨音には人の耳では聴き取れないような、高周波が含まれているという。ホンマかいなと思い筆者が調べてみると、これは「ハイパーソニック」と呼ばれるものらしい。人の耳に聴こえる音の周波数は、20Hz〜20kHzと言われているが、ハイパーソニックとは20kHz以上の周波数の音を呼ぶのだとか。つまり、雨音に含まれるこのハイパーソニックに触れると、人の脳がα波を発し身体がリラックス状態になるというのだ。なるほど、そうだったのか…。

また、雨音には「1/fゆらぎ(エフぶんのいちゆらぎ)」という、「音のゆらぎ」が含まれているともいう。これは自然音の中にある、「規則的な音」と「不規則な音」が調和している状態のこと。この「音のゆらぎ」が人を心地良くさせ、自律神経を整えてリラックスさせるのだという。なので、静かな雨音や川のせせらぎの音、砂浜を洗う波の音などを、人は何時間でもぼんやり聴いていられるのだな。驚くべきことに、世の中には「1/fゆらぎ」を持つ声の歌手もいるらしく、その代表格として美空ひばりや宇多田ヒカル、MISIAなどの名前が挙がっている。へえ!と感心するしかないが、筆者的には大滝詠一の「雨のウェンズデイ」を聴くと、ずいぶんとリラックスできるのだ。

まあ、研究者の分析はなんとなく理解できたが、中には雨音を聞いて憂鬱になる人だっているだろう。これは人それぞれの性格や普段の行動パターンによっても、いろいろ違いがありそうだ。筆者のように、根がインドア派でデスクワーク一筋のタイプは、雨音を聴くとなぜか心が安らぎ、急に哲学者にでもなったような気分になる。特に深夜にこれを聴くと、雨の日が永遠に続けば良いのになどと思ってしまうのだ。一方でアウトドア派で活動的なタイプは、やっぱり雨音を聴くと憂鬱になるのではなかろうか。中にはストレスを感じたり、じっとしていられなくなる人もいるかもしれないな。

とはいえ、YouTubeにこれだけ多くの「雨音」がアップされているところを見ると、それだけ需要が多いということなのだろう。筆者のような夜ふかし人間は別として、やはり人は夜ともなればグッスリと眠りたいもの。そんな人には、就寝前の「雨音」がおすすめだ。昼間溜め込んだストレスを洗い流し、熱くなった脳をクールダウンさせる雨音は、きっと現代人を深い眠りの淵へといざなってくれるはず。とにかくインドア派もアウトドア派も、睡眠だけは大事にしたいのでね。



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Posted by 桜乱坊  at 12:03 │Comments(0)身辺雑記

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