2009年05月30日
醤油は甘い方がいい?
東京から佐賀に戻って来てはや4年になるが、最近やっと筆者の味覚も九州モードに戻りつつある。いちばん良い例が、キッコーマン醤油の呪縛がようやく解けて来たことだろうか。何というか最近はフジジン醤油(大分県臼杵市)やニビシ醤油(福岡県古賀市)など、地元産の甘い醤油の方が好きになって来たのを感じるのだ。
とにかく東京で暮らしていると、身の回りにある醤油と言えばまず圧倒的にキッコーマン。ぐっと下がってヒゲタかヤマサ。そのくらい向こうでのキッコーマンのシェアは大きいのだが、かつて十代で上京した筆者が初めてこの醤油と遭遇したときに感じたカルチャーショックは、さらにドーンと大きかったね。とにかく驚いたのは、それが恐ろしく塩っぱかったこと。何じゃこりゃ〜!と叫びたい思いだった。
だいたいにおいて九州産の醤油は甘い味が特徴だが、それに比べるとあちらの醤油はみんな塩気がキツい。それもそのはずで、キッコーマンの生まれたのは千葉県野田市。またヒゲタとヤマサは、どちらも千葉県銚子市だ。つまり、塩辛い味が大好きな北関東で生まれた醤油が、むかしから利根川や江戸川を舟で上って江戸に運ばれたため、いまでも東京ではこれらの味が食の世界を席巻しているというわけ。なので、むこうで醤油を使った料理というと、たいてい味が濃くて塩味が利いている。
もっとも九州人も慣れて来ると、このメイドイン北関東の良さがだんだん分かって来る。なにより東京の蕎麦の美味さは、こうした濃口の醤油で作る汁(つゆ)あってのもの。甘い醤油じゃああは行かない。それに香りの良さは抜群で、鰻の蒲焼きやブリの照り焼き、またトウモロコシの付け焼きなど、焼き物にはえも言われぬ香ばしさを発揮する。さらにしっかりと味がつくため、甘露煮などにも向いてるんじゃないのかな。ただし、刺身を浸したり漬物にかけたりするには、ちょっと塩っぱ過ぎる気がするけど。

そんなわけで、長年の東京暮らしですっかりキッコーマン色に染まった筆者だったが、前述の通りこのところようやく塩気が抜けて来たというわけ。やっぱり人間は結局、自分が生まれ育った土地の味覚に帰るということだろうか。ただし一口に九州モードと言っても、南の方に行くとこれがまたかなり違うのだ。
鹿児島や宮崎で刺身を食べたことのある人なら経験済みだろうが、むこうの醤油の甘さにはさすがの佐賀人もビックリする。とにかく、ニビシなどよりさらに甘い醤油が使われているのだから、上には上があるもんだ。むこうで魚の切り身に醤油をたっぷりつけて口に入れた時の、あのええ〜っ?という衝撃は経験した人じゃないと分からないだろうね。
いつかのテレビの旅番組で、タレントの三船美佳(もちろんお父さんは三船敏郎)が鹿児島県指宿市の民家に上がり込み、そこで料理の腕を振るうという場面があった。そのとき彼女は炒めものを作ったのだが、味付けの醤油を誤ってドボドボッ。「ああ〜っ」と心配そうな美佳に、その家の奥さんは「大丈夫」と落ち着いたもの。後でみんなで食べてみると、味付けは大成功だったようだが、たぶんこれは地元産の甘口醤油のお陰なのだろう。「あんなにお醤油を入れたのに…?」と、東京から来た彼女はきっと、食べながら少し不思議だったんじゃなかろうか。
酒にも地酒があるように、醤油にもやはり地醤油というものがある。南北に細長い日本列島だが、では単純に北の方は辛口で南は甘口なのかというと、どうやらそうでもなさそうだ。聞くところによれば沖縄の醤油は甘口らしいが、一方で北陸地方にも甘い味の醤油があるらしい。おそらく地醤油の甘辛は、その地方の古くからの食文化と深い関わりがあるのだろう。その辺りがどうも酒と違って調べるのが難しい。飲み屋などでも、「各地の地醤油あります」という所はまずないものなあ。
そういえば先日、DVDで佐賀を舞台にした野村芳太郎監督の映画『張込み』を観ていたら、刑事たちが張り込む家の近くに「佐星醤油」のホーロー看板を発見した。映画の公開は1958年。その「佐星醤油」は現在も唐人町に健在だが、ネットで調べてみるとなんと佐賀市内にはいま、計9軒もの地醤油の会社がある。意外にも佐賀は醤油の産地なのだ。スーパーなどの棚ではなぜか見掛けないこうした佐賀産の醤油だが、筆者は一度探し出してぜひ味見したいと思っている。
とにかく東京で暮らしていると、身の回りにある醤油と言えばまず圧倒的にキッコーマン。ぐっと下がってヒゲタかヤマサ。そのくらい向こうでのキッコーマンのシェアは大きいのだが、かつて十代で上京した筆者が初めてこの醤油と遭遇したときに感じたカルチャーショックは、さらにドーンと大きかったね。とにかく驚いたのは、それが恐ろしく塩っぱかったこと。何じゃこりゃ〜!と叫びたい思いだった。
だいたいにおいて九州産の醤油は甘い味が特徴だが、それに比べるとあちらの醤油はみんな塩気がキツい。それもそのはずで、キッコーマンの生まれたのは千葉県野田市。またヒゲタとヤマサは、どちらも千葉県銚子市だ。つまり、塩辛い味が大好きな北関東で生まれた醤油が、むかしから利根川や江戸川を舟で上って江戸に運ばれたため、いまでも東京ではこれらの味が食の世界を席巻しているというわけ。なので、むこうで醤油を使った料理というと、たいてい味が濃くて塩味が利いている。
もっとも九州人も慣れて来ると、このメイドイン北関東の良さがだんだん分かって来る。なにより東京の蕎麦の美味さは、こうした濃口の醤油で作る汁(つゆ)あってのもの。甘い醤油じゃああは行かない。それに香りの良さは抜群で、鰻の蒲焼きやブリの照り焼き、またトウモロコシの付け焼きなど、焼き物にはえも言われぬ香ばしさを発揮する。さらにしっかりと味がつくため、甘露煮などにも向いてるんじゃないのかな。ただし、刺身を浸したり漬物にかけたりするには、ちょっと塩っぱ過ぎる気がするけど。

そんなわけで、長年の東京暮らしですっかりキッコーマン色に染まった筆者だったが、前述の通りこのところようやく塩気が抜けて来たというわけ。やっぱり人間は結局、自分が生まれ育った土地の味覚に帰るということだろうか。ただし一口に九州モードと言っても、南の方に行くとこれがまたかなり違うのだ。
鹿児島や宮崎で刺身を食べたことのある人なら経験済みだろうが、むこうの醤油の甘さにはさすがの佐賀人もビックリする。とにかく、ニビシなどよりさらに甘い醤油が使われているのだから、上には上があるもんだ。むこうで魚の切り身に醤油をたっぷりつけて口に入れた時の、あのええ〜っ?という衝撃は経験した人じゃないと分からないだろうね。
いつかのテレビの旅番組で、タレントの三船美佳(もちろんお父さんは三船敏郎)が鹿児島県指宿市の民家に上がり込み、そこで料理の腕を振るうという場面があった。そのとき彼女は炒めものを作ったのだが、味付けの醤油を誤ってドボドボッ。「ああ〜っ」と心配そうな美佳に、その家の奥さんは「大丈夫」と落ち着いたもの。後でみんなで食べてみると、味付けは大成功だったようだが、たぶんこれは地元産の甘口醤油のお陰なのだろう。「あんなにお醤油を入れたのに…?」と、東京から来た彼女はきっと、食べながら少し不思議だったんじゃなかろうか。
酒にも地酒があるように、醤油にもやはり地醤油というものがある。南北に細長い日本列島だが、では単純に北の方は辛口で南は甘口なのかというと、どうやらそうでもなさそうだ。聞くところによれば沖縄の醤油は甘口らしいが、一方で北陸地方にも甘い味の醤油があるらしい。おそらく地醤油の甘辛は、その地方の古くからの食文化と深い関わりがあるのだろう。その辺りがどうも酒と違って調べるのが難しい。飲み屋などでも、「各地の地醤油あります」という所はまずないものなあ。
そういえば先日、DVDで佐賀を舞台にした野村芳太郎監督の映画『張込み』を観ていたら、刑事たちが張り込む家の近くに「佐星醤油」のホーロー看板を発見した。映画の公開は1958年。その「佐星醤油」は現在も唐人町に健在だが、ネットで調べてみるとなんと佐賀市内にはいま、計9軒もの地醤油の会社がある。意外にも佐賀は醤油の産地なのだ。スーパーなどの棚ではなぜか見掛けないこうした佐賀産の醤油だが、筆者は一度探し出してぜひ味見したいと思っている。
実は昨日まで帰省していたのですが、つくづくお醤油の味の違いを実感していたんですよ^^「うまくち」なんて表示はこちらでは見かけませんしね。
キッコーマンの薄口などは、びっくりするほどしょっぱいです^^;
私は、やっぱり故郷のお醤油の味が口に合いそうです^^
実家の母が高齢で、これから毎月食事やお世話のため帰省することになりました。
ネットも繋ごうとパソコンも購入したのですが、回線がいっぱいとのことで(ヤフー)今だ待機中?なので、こちらに戻って久々にパソコン開いています。
パソコンは今や必需品、早い時期に実家でもネツトが出来るようになればいいなぁと思っています^^
最近はこうしたネットにより、各地の地醤油が簡単に手に入るようになりました。でもやっぱり誰もが一番口に合うのは、古里の味でしょうか。
キッコーマンのあの香りや塩っぱさにも捨て難いものがありますが、九州のトロリと甘い醤油の味はやはり格別ですよね。