2018年02月28日

盛り上がれ、九州のサッカー!

盛り上がれ、九州のサッカー!

いよいよ2018年のJリーグが開幕した。今年はワールドカップ・ロシア大会が6月に開かれるとあって、J1もそれに合わせ、例年より早く2月23日のスタートとなった。わがサガン鳥栖はその開幕戦で、ベアスタにヴィッセル神戸を迎え撃ち、試合の結果は1−1のドロー。残念といえば残念だがまあこの試合、主力FWのビクトル・イバルボが調整不良で欠場、フィッカデンティ監督もインフルエンザで欠場という緊急事態だったので、その割りにはよく健闘したと言えそうだ。

なにしろ相手の神戸は、元ドイツ代表のポドルスキにハーフナー・マイク、さらに福岡から移籍したウェリントンと、強力なFWが3枚も揃っている。三木谷マネー炸裂!という陣容だが、この猛攻に耐えてドローに持ち込んだのは、鳥栖にとって悪くない結果だろう。とにかく今年はエースの豊田がいない。その代わり期待の若手のFW田川が、この試合で先制点を獲ってくれたのは希望というものだ。それに相手の1点は鳥栖の元エースのマイクだし、これも許してやろう。全てはこれからだ。ここは監督を始め戦力をバッチリ整えてからの、鳥栖の再スタートに期待しようじゃないか。

今年のもう一つの楽しみは、すぐ西隣の長崎県にJ1のチームが誕生したこと。鳥栖の次戦の相手がそのチーム、V・ファーレン長崎というのが面白い。とかく隣どうしの戦いは、盛り上がるものと相場が決まっている。なにしろ素性も実力もよく知ってる相手なので、あいつにだけはというライバル心がある。佐賀県人からすれば、新参者にゃ負けられんバイ!というところだ。だいいち長崎線で繋がっているので、サポーターも大挙して押し掛けられる。盛り上がる条件はバッチリなのだ。その意味では、長崎がJ1に昇格してくれて本当に良かった。

V・ファーレン長崎は、昨年からジャパネットの創業者・高田明氏が社長となり、急速に体力と戦力を充実させて来た。一時は資金不足に陥ったクラブを救ったのが高田氏で、ジャパネットの100%子会社となってからは、チーム成績も見事にV字回復。晴れて今年のJ1参入を果たしたというわけだ。何といってもクラブの運営には金がかかる。筆者はそれまで例のCMでしか知らなかったが、高田氏の郷土愛は立派なものだと感心する(同様にサガン鳥栖も、県出身の実業家の出資に支えられている)。やっぱり、Jリーグの真髄は郷土愛にあると見付けたり、だ。長崎はまず今年のJ1残留を目指してほしいね。

そこでちょっと気になるのが、佐賀の東隣の福岡県。ここにはJリーグのチームが2つもある。アビスパ福岡とギラヴァンツ北九州だ。人口でいえば福岡県は1県で、佐賀、長崎、熊本、大分4県の合計を上回る巨大密集地。なので、これは当然といえば当然だろう。だが、ああそれなのにアビスパ福岡には今年、ドロ沼のJ2の死闘が待っているし、ギラヴァンツ北九州はJ3で戦わなければならない。佐賀の地方都市・鳥栖がJ1で頑張っているというのに、九州を代表する大都市の福岡と北九州がこれでは困る。本来のポテンシャルから言えば、両クラブはJ1に定着し、九州のサッカーを先頭から引っ張る存在のはずなんだが…。

もっとも、両クラブには同情すべき事情もある。それは福岡県には、プロ野球のソフトバンク・ホークスという、圧倒的な人気球団があることだ。福岡のテレビ放送を見れば、ワイドショーもニュース番組も、とにかくホークス一色に染まっている。たまに付け足しのように、アビスパやギラヴァンツの紹介もあるが、まずは何よりプロ野球の情報が優先される。それも朝から晩まで。つまり福岡は熱狂的な“野球県”なのだ。西鉄ライオンズ以来の伝統なのかも知れないが、ここでJリーグのチームが確固たる地位を築くには、他県にはない苦労も多いはず。なのでホークスファンとの共存を図りながら、両クラブは地道にレベルアップをしてほしい。

気になると言えば、忘れてはならないのが大分トリニータの存在だ。何といってもかつてはJ1で奮闘し、2008年には清水エスパルスを破り、ナビスコカップで優勝という栄冠を手に入れている。これは九州のチームが得た初タイトルで、東京・国立競技場で行われた決勝戦には、大分県から約1万人のサポーターが駆け付けて、大きな話題になったものだ。だが、その栄光も一瞬の夢。2009年には経営危機が表面化し、ついにトリニータはJ2降格の憂き目に。天国から地獄へとジェットコースターで急降下したまま、現在に至るまでJ1への返り咲きは果たせていない。

だが、カメのような生命力が大分のカラーだろうか。その後、官民挙げての努力が実ってジワジワと息を吹き返し、一時はどん底だった財務状況を見事に再生。今では長期借入金の返済も終わったというから、今後の復活が楽しみだ。なにしろトリニータには、若き日の金崎夢生、清武弘嗣、森重真人、西川周作といった、日本代表選手を育てた実績がある。これからも彼らに続く若手有望選手を育てて、戦力を整えぜひJ1の舞台に帰って来て貰いたい。そうでなくては、立派なスタジアムが泣くというものだ。

さてJ2でもう1チーム燻っているのが、ロアッソ熊本だ。いったいどぎゃんしたと? 政令指定都市・熊本を代表するクラブでありながら、いつまでもJ2の残留争いをしているようでは、加藤清正公もお怒りだ。かつてサガン鳥栖がJ2からJ1への昇格を決めたとき、応援コールをしてくれた恩は忘れてはいない。2年前の熊本地震で、大きなダメージを受けたのは気の毒だったが、もうそろそろ火の国のチームらしく爆発して欲しいもの。元日本代表のFW巻誠一郎が頑張っているうちに、ぜひJ1への昇格が実現するよう筆者は祈っている。

この他、九州にはJ3からJ2への昇格を狙う鹿児島ユナイテッドとFC琉球があり、彼らにも今年の熱い戦いが待っている。両方とも南国のチームなので、一旦火が点けば県民も燃えるような応援をしてくれるはず。なんたって情熱的なのが薩摩人であり沖縄人だ。出来れば将来はJ1にも上がって来てほしい。このようにJリーグの面白さは、各県ごとに地元を代表するクラブがあり、それらが都市対抗や県対抗のような形で競い合うことだろう。それゆえに地元愛が喚起されるのだ。そんな戦いを九州のチームがグイグイ盛り上げてくれれば、筆者としても嬉しいのだが。



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Posted by 桜乱坊  at 14:24 │Comments(2)スポーツ

この記事へのコメント
ロアッソ熊本に気合を入れてくれてありがとう!
昨シーズンはどん底の成績で降格決定・・・のはずが、下部チームにJ2昇格の資格が整わず、かろうじて残留という無様な結果で終了。
今年はフロントを刷新して「もうできない理由は何もない!」と意気込んだが、初戦山口に1-4・・・・・どっこい!
がんばるモン くまモン
Posted by くまモン 鶴 at 2018年02月28日 14:49
くまモンさん、コメント有難うございます。
V・ファーレン長崎には先を越されてしまいましたが、次はロアッソ熊本の番ですね。
熊本全体のポテンシャルを考えると、伸びる可能性は十分なんですが、なんでロアッソは噴火しないのかな?
とにかく、鳥栖がJ1を死守しているうちに早く昇格して下さい。
Posted by 桜乱坊桜乱坊 at 2018年03月01日 14:26
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