2008年08月13日

高校スポーツの夏

高校スポーツの夏

華々しいオリンピックの陰に隠れて、そういえば甲子園の高校野球もやってたんだなあ。今年は北京からの大報道のせいですっかり日陰の存在だが、常識的に考えればこれはまあ仕方がないだろう。甲子園の高校野球はもともと高校生の部活の大会であり、新聞やテレビが朝から晩まで大騒ぎする方が異常なのだ。

今年、佐賀代表として出場した佐賀商業は、一回戦で岡山の倉敷商業に惜しくも敗退。佐賀県人としては残念だが、なに勝負は時の運。勝つときもあれば負けるときもある。佐賀商部員たちは堂々と胸を張って、郷土の土を踏めば良いのだ。

一方、それより少し早く開始された高校総体(インターハイ)では、サッカーの佐賀東高校が全国でベスト4進出という快挙を成し遂げている。これはすごい! 同校は準決勝で惜しくも千葉の流通経大柏に0-2で敗れ、決勝進出はならなかったものの、佐賀の代表としては昨年の佐賀北高校の甲子園での優勝に次ぐ、素晴らしい活躍だといえるんじゃないだろうか。

しかし筆者がちょっと不満に思うのは、同じ時期に開かれる高校生の部活の大会でありながら、甲子園の野球大会と高校総体とでは、マスコミの報道の量がまったく違うこと。前者はNHKが全試合を全国中継し、新聞のスポーツ面ではカラー写真入りでデカデカと取り扱う。かたや高校総体の方は、その存在すら知られぬほど扱いが小さい。これはまったく理不尽としかいいようがない。昨年の佐賀北の優勝に歓喜した佐賀の人々は、今年の佐賀東のベスト4進出をどれほど知っているのだろうか。

まあすべては、高校スポーツの中で野球だけを特別扱いしてきた、この国の歴史に原因があるのだろう。何といっても高校総体を主催するのが、野球以外の全ての高校スポーツを統括する高体連なのに対し、甲子園の野球大会を主催するのは高野連と朝日新聞社。あらゆる競技の中で野球だけが高体連に含まれず、高野連という独自の組織を持っているのだ。これはちょっと変じゃないの?

筆者の考えでは、野球もやっぱり高体連に加入し、高校総体の中で優勝を争う試合を行えば良いのだ。同じ高校生のスポーツ大会なのに、いまのように野球の選手だけがチヤホヤと特別扱いされるのは、本人たちや他の種目の選手たちにとっても、あまり良いことではないだろう。努力の成果は平等に評価されるべきじゃないのかな。新聞社ももうそろそろ、高校野球人気を利用して販売部数を稼ごうなどというセコイ考えを捨て、全ての高校スポーツを賛助する立場に立った方が、世の尊敬を集めやすいんじゃないだろうか。

聞くところではいまの高校野球も、様々な問題を抱えているようだ。中でもファンの興をそぐのは、勝つために地元以外からの移入選手で強化しようとする学校の存在。東北や四国・山陰など野球が元々あまり強くない地域の私立高校の中には、大阪など野球のさかんな関西地区から中学生を集め、強豪校へと変身したところもあるようだ。何でも東北の某高校チームで行き交う標準語は、関西弁らしいとの噂もあるし…。

むろん誇り高い葉隠精神の横溢した佐賀では、こうした関西からの助っ人選手などはいないはずだ。だいいちそんな高校が県の代表になっても、佐賀県人は決して応援しないだろう。そう言う意味でも昨年の佐賀北高は、全員が地元出身者というところが素晴らしかった。サガン鳥栖サポーターの横断幕ではないが、佐賀の高校スポーツはどこまでも「正直田舎者」で行ってほしい。そしてマスコミは、すべての種目を平等に扱ってほしい。



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Posted by 桜乱坊  at 12:01 │Comments(0)スポーツ

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