2007年12月21日
シアター・シエマにて

楽しみにしていた佐賀の街なかの映画館、シアター・シエマが12月15日にオープンしたので、さっそく都合のいい平日の夕刻、ブラリと歩いて映画を観に行って来た。このブラリと映画を観に行く感覚は、本当に久しぶりのもの。途中にある、ポツポツと灯の点き始めた夕暮れの飲屋街を歩くのも、また雰囲気があっていいんだよな。
その日のお目当ては、イタリア映画「題名のない子守唄」(この邦題は、どうもねえ…?)。これは、「ニュー・シネマ・パラダイス」や「マレーナ」で知られる巨匠ジョゼッペ・トルナトーレの最新作で、音楽がこれまた巨匠エンニオ・モリコーネという、イタリアンコンビによる豪華版だ。むろんこの映画、シネコンではやっていない。
3階でエレベーターを降りて、ちょっと驚いた。以前のセントラルシネマのときに比べ、インテリア全体のプランや雰囲気が大きく変わっている。まるで、ちょいとした女性向けサロンのような造りというか、なんというか。そこは筆者のようなむさ苦しい男がどこか気恥ずかしくなるような、垢抜けした小ぎれいな空間に変身していたのだった。なので、どっちへ進んでいいか一瞬戸惑ったりしたのだが、ま、そのあたりは分かり易い誘導サインがあれば済む話なんだがね。
ウロウロしながら左の方に進み、かつての映画の客席を改造したような広いカフェのカウンターで尋ねると、そこがチケットの売り場だった。カフェでは飲み物や軽食なども摂れるようになっており、女子高生の二人連れがなにやら話し込んでいた。チケットを購入しカウンター沿いに奥に進むと、その右手に目的のシアターの入口があった。このあたり、なにもかもが以前とは様変わりしており、オールドファンにはかなり分かりにくい配置になっている。全体的なサイン計画をもう少し充実させたらと思うのだが、どうでしょうか?
で、映画なのだが、これがなかなかの傑作。
ウクライナからの移民で、イタリアのある都市に住む貧しい女イレーナには、何か暗い過去がありそう。アダケル夫妻と幼い娘のテアが暮らす家庭にメイドとして入り込むことに成功するが、彼女の行動には様々な謎がつきまとう。やがてその謎が解き明かされて行くにつれ、彼女の悲しい過去と無情とも思える宿命が浮かび上がる──というミステリータッチのドラマに仕上がっている。
最初はストーリーになかなか入り込めないものの、挿入されるフラッシュバックがやがてジグソーパズルのピースのように徐々に繋がり、最後に一つの絵になって行くところはさすが。ラストにはどんでん返しも用意してあり、底の浅いハリウッド映画では味わえない、深く苦く恐ろしいテイストの“悲しい酒”になっている。やはりイタリア映画。さすが名匠ジョゼッペ・トルナトーレ。これはオススメだね。ただし、せっかくのエンニオ・モリコーネの音楽も、施設の音響装置が劣化しているせいか、音がビンビン割れていたのは惜しかった。
シアター・シエマではこの他にも次々と、他館では観られない秀作映画が上映されるようなので、今後も楽しみといえば楽しみだ。が、ちょっと気になるのはお客の入り。シネコンと競合しないプログラムは良いのだが、どちらかといえばこれらはいずれもマイナー映画。この日も客席は閑散としていた。
学生などが多く住む東京の中央線沿線の街ならいざしらず、若者よりは年配者の方が多いであろう佐賀の街なかで、はたしてこれでやっていけるのだろうか? もっと人を集められるオールドファン向けの過去の名作なども、たまにはやった方がいいんじゃなかろうか? ついそんな心配をしてしまうのは、このシアター・シエマにずっと続いて欲しいと願うからなのだが、これって筆者の老婆心という奴かな…。
2007年12月14日
街なかの映画館が復活
佐賀の中心市街地にようやく映画館が復活するらしい。その名は「シアター・シエマ」。松原神社のすぐ北側にかつてあった「セントラルシネマ」の施設を活用し、新しい映画館として再生するというから楽しみだ。http://ciema.info/
筆者が東京から引っ越して来た2年半前には、まだ佐賀の街なかにも映画館があった。先に述べた「セントラルシネマ」の他に、すぐそばには「セントラル会館」もあり、ひまをみてブラリと歩いて映画を観に行くのが一つの楽しみだった。小腹が空いているときには、近くの饅頭屋で名物の豚まんを買い、それを頬張りながらの鑑賞という贅沢(?)を味わったりもしたものだ。
なので、この二つの映画館が閉鎖したときには、本当にガッカリさせられた。以来、映画を観るには、車に乗って郊外のシネコンに行くしか方法がなくなった。ああ、何という不便さ。わざわざ車に乗って映画を観に行く──それは、東京に住んでいた頃には想像さえしなかった屈辱だった。ここが都会ではないということを、つくづく実感したのを覚えている。しかし、佐賀市って県庁所在地で、佐賀県を代表する都市じゃなかったの?
筆者に言わせれば、映画館や劇場などは市街地の賑やかなところにあって、ショッピングやデートのついでにブラリと立ち寄れるところに存在価値がある。むろん、周囲には魅力的な飲食店や商店などが立ち並び、通りには行き交う人々の楽しげな声や靴音が溢れている──。そう、映画館とは街歩きのついでに立ち寄るものであり、それはショッピングや飲食や愛の語らいなどと、深い相関関係にあるものなのだ。そうした猥雑さの中にこそ、街の魅力が凝縮されていると言っても良いだろう。

野村芳太郎監督の初期の傑作映画「張込み」は、昭和30年代の佐賀が舞台になっている。いま観ればそこに活写された当時の佐賀の街は、多くの商店や人で溢れ、活気に満ち満ちた賑わいを呈している。かつての佐賀は、ゴーストタウンと化した現在の姿からは、まるで想像もつかない豊かな都市だったのだ。
「張込み」の一場面には、繁華街の中の映画館の様子なども出てくる。むろん映画は当時の娯楽の王者。あの頃の佐賀の街なかには、きっと数多くの映画館が存在し、どこも大いに活況を呈していたに違いない。筆者にはその姿こそ、映画館の本来のあり方だと映る。つまり、豊かな街には人で賑わう映画館がつきものなのだ、と。
まあ郊外型のシネコンが悪いとはいわないが、あれはもともと市街地から遠く離れた田舎の人にこそ必要なもの。佐賀という都市の住民にとっては、中心市街地の映画館こそ、自分たちの財産だと考えるべきだろう。そこにブラリと歩いて行ける幸せを、この機会にもう一度、筆者はよく噛み締めてみたいと思う。
筆者が東京から引っ越して来た2年半前には、まだ佐賀の街なかにも映画館があった。先に述べた「セントラルシネマ」の他に、すぐそばには「セントラル会館」もあり、ひまをみてブラリと歩いて映画を観に行くのが一つの楽しみだった。小腹が空いているときには、近くの饅頭屋で名物の豚まんを買い、それを頬張りながらの鑑賞という贅沢(?)を味わったりもしたものだ。
なので、この二つの映画館が閉鎖したときには、本当にガッカリさせられた。以来、映画を観るには、車に乗って郊外のシネコンに行くしか方法がなくなった。ああ、何という不便さ。わざわざ車に乗って映画を観に行く──それは、東京に住んでいた頃には想像さえしなかった屈辱だった。ここが都会ではないということを、つくづく実感したのを覚えている。しかし、佐賀市って県庁所在地で、佐賀県を代表する都市じゃなかったの?
筆者に言わせれば、映画館や劇場などは市街地の賑やかなところにあって、ショッピングやデートのついでにブラリと立ち寄れるところに存在価値がある。むろん、周囲には魅力的な飲食店や商店などが立ち並び、通りには行き交う人々の楽しげな声や靴音が溢れている──。そう、映画館とは街歩きのついでに立ち寄るものであり、それはショッピングや飲食や愛の語らいなどと、深い相関関係にあるものなのだ。そうした猥雑さの中にこそ、街の魅力が凝縮されていると言っても良いだろう。

野村芳太郎監督の初期の傑作映画「張込み」は、昭和30年代の佐賀が舞台になっている。いま観ればそこに活写された当時の佐賀の街は、多くの商店や人で溢れ、活気に満ち満ちた賑わいを呈している。かつての佐賀は、ゴーストタウンと化した現在の姿からは、まるで想像もつかない豊かな都市だったのだ。
「張込み」の一場面には、繁華街の中の映画館の様子なども出てくる。むろん映画は当時の娯楽の王者。あの頃の佐賀の街なかには、きっと数多くの映画館が存在し、どこも大いに活況を呈していたに違いない。筆者にはその姿こそ、映画館の本来のあり方だと映る。つまり、豊かな街には人で賑わう映画館がつきものなのだ、と。
まあ郊外型のシネコンが悪いとはいわないが、あれはもともと市街地から遠く離れた田舎の人にこそ必要なもの。佐賀という都市の住民にとっては、中心市街地の映画館こそ、自分たちの財産だと考えるべきだろう。そこにブラリと歩いて行ける幸せを、この機会にもう一度、筆者はよく噛み締めてみたいと思う。
2007年12月06日
われらがサガン鳥栖へ

今期のJ2リーグ戦が終了し、われらがサガン鳥栖は8位の成績に終った。昨年の4位に比べればやや後退だが、指揮官として一年目の岸野監督のもと、まずまずの戦いぶりだったんじゃないのだろうか。特に後半戦は徐々に調子を上げ、オープニングマッチで0-5と完敗したアビスパ福岡には、最終戦で3-1の勝利を上げみごとにリベンジ。アビスパには合計でも3勝1敗と勝ち越したし、チームは確実に良い方向に向かっている印象を受けた。
特に光ったのが、FWの藤田祥史。昨年まで在籍して、2年連続日本人得点王に輝いたFW新居辰基の抜けた穴を立派に埋め、またまた日本人得点王の座に就いたのだからスゴイ。鳥栖と言えば日本人得点王という伝統が、これで生まれたんじゃないのかな。さらにもう一枚の外国人FWが爆発してくれれば、来年はひょっとしたらという期待も膨らんでくる。
思えばサガン鳥栖は、つい数年前までクラブの存続さえ危うかった。それが不死鳥のように生まれ変わり、いまでは観客動員数も伸びて、優良クラブの仲間入りを果たしそうな勢いだから、まるで隔世の感がある。ひょっとしてウィントスもとっとちゃんも、まだ夢を見ている気持ちなのかも知れないなあ。
まあ、いろんな経緯があったはずだが、やはり今から思えば鳥栖には“天使”が舞い降りたのだろう。その“舞い降りた天使”とは、松本育夫氏のことだ。誰も引き受け手のなかったドン底・鳥栖の監督に就任し、その情熱とサッカー理論でチームを作り直し鍛え上げ、昨年はついに4位にまで上昇した。今年からはクラブのGMとして、岸野監督を裏から支えている。佐賀のサッカーファンは、まずこの人に脚を向けては寝られないはずだ。
また、崩壊寸前だったサガン鳥栖を引き取り、新会社を立ち上げて軌道に乗せたもう一人の“天使”が、七山村出身の快男児・井川幸広氏だ。3年前この人が手を挙げてくれなかったら、いまのクラブの姿はなかっただろう。井川氏は元々サッカー少年だったというが、死にかけた子ガラスに薬を与え餌を食べさせ、若鳥に成長させた実業家としての手腕には、並々ならぬものがある。井川氏といい松本氏といい、サガン鳥栖はつくづく運に恵まれていると思う。
もともと鳥栖スタジアムという、最高のサッカー専用スタジアムを持っていたサガン鳥栖。京都やC大阪、山形など陸上競技場をホームとするJ2の他クラブからみれば、羨ましいほど環境面でも恵まれていたわけだ。
舞台はようやく整った。これで発奮しなければ、その方がおかしい。幸い佐賀県内でも支援の輪は広がっているようだし、ひとつサガン鳥栖には今後、地方都市でもやれるというサッカークラブの良い見本となってほしいものだ。もちろん、最強のチームを目指して!
2007年12月02日
新しい目覚まし時計
二十数年前に秋葉原のバッタ屋で買った目覚まし時計がついにダウン。とうとう動かなくなった。CITIZENのブランド名は入っているものの、安物の時計にしてはよくまあ長いこと保ったものだ。ご苦労様でした。
枕元に時計がないのは不便なので、さっそく三日月町のディスカウントストア、ダイレックスに行ってみた。なぜ時計屋ではなくダイレックスなのかというと、そこが所用のついでに立ち寄れる場所にあったのと、取りすました時計屋より筆者はこういう店が好きだからだ。
とにかくここには何でも揃っている。食品に衣類、家電に雑貨、つまりパンツにカップ麺からテレビや歯ブラシまで、広い店内に雑然といろんなものが並んでいる。およそ生活に必要なものもそうでなさそうなものも、圧倒的な量で目の前に積んである。そこが面白い。しかも安い。こういう店に入ると筆者は、まるで祭の夜店に紛れ込んだ子供みたいな気分になってしまう。近くにダイレックスがあれば、毎日でも行くんだけどなあ。

目覚まし時計を探してみると、片隅のコーナーにちゃんとあった。おまけにどれも安い。しかし、こういう店で名の知れたメーカー品を買っては面白くない。そこでCASIOやCITIZENなどではなく、「DAILY」という見知らぬブランド名の入った製品を選んで購入する。ちょっと冒険だが、えらく安いのとデザインのシンプルさが気に入った。
で、持ち帰って単三電池を入れると、おお、ちゃんと動くではないか。よしよし、まずはひと安心。つぎに説明書を読んでみる。ブランド名はDAILYだがこの時計、発売しているのはリズム時計工業という会社らしい。聞いたことはないが、社名の下にホームページのURLが記してあったので、ためしにアクセスしてみた。どうせどこかの町工場なのかも知れないが…。
ページを開いてちょっと驚いた。なかなか立派な作りのサイトではないか。おまけになんとこの会社、町工場どころか資本金123億円で東証一部上場の大企業。失礼しました。日本の時計メーカーといえばSEIKOやCITIZEN、CASIOくらいしか知らなかったが、へえ、世の中にはこんな大会社があったのか。感心するやら安心するやら。
さらによくページを読み進むと、いろんなことが分かってきた。この会社はどうやらDAILY以外にも、CITIZENやQueen Elizabeth2、ATELIERといった種々のブランド名の時計を作っているらしい。ということはDAILYもCITIZENも、作っている会社は同じということなのか。ふむふむなるほどね、そうだったのか。
そんなわけでわが枕辺の目覚まし時計は、今日も快調に動いている。時刻の狂いなども一切ない。DAILYを購入して本当に良かった。お陰で、筆者のブランド名への信仰心も、ますます薄くなった。要は中身が重要だということ、そういうことなのだね。
枕元に時計がないのは不便なので、さっそく三日月町のディスカウントストア、ダイレックスに行ってみた。なぜ時計屋ではなくダイレックスなのかというと、そこが所用のついでに立ち寄れる場所にあったのと、取りすました時計屋より筆者はこういう店が好きだからだ。
とにかくここには何でも揃っている。食品に衣類、家電に雑貨、つまりパンツにカップ麺からテレビや歯ブラシまで、広い店内に雑然といろんなものが並んでいる。およそ生活に必要なものもそうでなさそうなものも、圧倒的な量で目の前に積んである。そこが面白い。しかも安い。こういう店に入ると筆者は、まるで祭の夜店に紛れ込んだ子供みたいな気分になってしまう。近くにダイレックスがあれば、毎日でも行くんだけどなあ。

目覚まし時計を探してみると、片隅のコーナーにちゃんとあった。おまけにどれも安い。しかし、こういう店で名の知れたメーカー品を買っては面白くない。そこでCASIOやCITIZENなどではなく、「DAILY」という見知らぬブランド名の入った製品を選んで購入する。ちょっと冒険だが、えらく安いのとデザインのシンプルさが気に入った。
で、持ち帰って単三電池を入れると、おお、ちゃんと動くではないか。よしよし、まずはひと安心。つぎに説明書を読んでみる。ブランド名はDAILYだがこの時計、発売しているのはリズム時計工業という会社らしい。聞いたことはないが、社名の下にホームページのURLが記してあったので、ためしにアクセスしてみた。どうせどこかの町工場なのかも知れないが…。
ページを開いてちょっと驚いた。なかなか立派な作りのサイトではないか。おまけになんとこの会社、町工場どころか資本金123億円で東証一部上場の大企業。失礼しました。日本の時計メーカーといえばSEIKOやCITIZEN、CASIOくらいしか知らなかったが、へえ、世の中にはこんな大会社があったのか。感心するやら安心するやら。
さらによくページを読み進むと、いろんなことが分かってきた。この会社はどうやらDAILY以外にも、CITIZENやQueen Elizabeth2、ATELIERといった種々のブランド名の時計を作っているらしい。ということはDAILYもCITIZENも、作っている会社は同じということなのか。ふむふむなるほどね、そうだったのか。
そんなわけでわが枕辺の目覚まし時計は、今日も快調に動いている。時刻の狂いなども一切ない。DAILYを購入して本当に良かった。お陰で、筆者のブランド名への信仰心も、ますます薄くなった。要は中身が重要だということ、そういうことなのだね。


